私の夢は今でもサイレンススズカです
今日、10年も前のことを思い出して気持ちが落ち込むことがありました。
仕事の帰り、東スポの競馬欄を見ていました。日曜日は天皇賞(秋)というレースが行われます。今回はウオッカを筆頭にスターホースが目白押しで、本当に楽しみなレースです。
そんな競馬欄の片隅に「天皇賞(秋)過去10年の成績」という表が載っていました。いちばん古い1998年のところに、1着オフサイドトラップ、2着ステイゴールドと書かれていました。
私はそれを見て、なんか表現のし様が無い虚脱感みたいなものに襲われました。
私は98年当時、それはそれは貧乏でした。
勝ったオフサイドトラップも2着のステイゴールドも名馬です。立派な馬です。
しかし、この年の天皇賞(秋)には、とんでもない大本命が存在していました。
1番人気、1枠1番サイレンススズカです。1番人気は勝てないというジンクスのある天皇賞(秋)で、単勝1.2倍の人気は異常な数値です。しかし、他のライバルホースたちが別のレースを選択したこと、東京競馬場は得意の左回りであること、もっとも得意とする2000メートルのレースであることなどを考えると納得のできる支持率でした。そしてなにより、競馬ファンはそれまでのレースでサイレンススズカの強さを目の当たりにしてきました。その強さは、もはや馬ではない動物なのではないか、と思わざるをえない感じでした。スタート直後からどんどん馬群から逃げて行き、そのまま他馬を寄せ付けることなく勝っているシーンを競馬ファンは何度も目にしていました。しかも鞍上の武豊騎手はムチを打つことはしませんでした。ただ、手綱を持って乗っているだけです。それで圧勝してしまうサイレンススズカは、もう誰がどう考えても勝つに決まっていました。
貧乏だった私は、その時、生まれてからいちばん高い買い物をしました。サイレンススズカの5万円の単勝馬券です。それは、私が5万円しか持っていなかったからで、1億円持っていれば、1億円買ったと思います。だって、馬が競馬場を1周するのを見ているだけで、お金が1.2倍に増えるんです。たぶん、当時の状況からして、サイレンススズカの馬券を1億や2億買った人は実際に何人もいるはずです。
そして、競馬ファンは、サイレンススズカがどれだけのレコードタイムで2000メートルを走ってくれるかを楽しみにしていました。武豊騎手は世界記録を狙いにいくと宣言していたので、ついにサイレンススズカにムチが入れられ、とんでもない世界レコードが目の前で樹立されることに、極度に興奮していました。競馬新聞の予想マークはすべてが、◎サイレンススズカです。
そして、1998年11月1日、午後3時40分、第118回天皇賞(秋)のゲートが開かれました。
私はこの日以来、5年間くらい武豊の馬券が買えなくなりました。武豊が悪いわけではないことは頭ではわかっています。しかし、体が武豊を許せないのです。3年後、阪神競馬場で武豊の乗ったエアセンスという馬が私の目の前で予後不良を起こしたとき、馬を気にして馬に寄り添う武豊に、大声で罵声を浴びせてしまいました。今考えれば人間として終わっていると思います。でもサイレンススズカの故障はそれくらい当時の競馬ファンにはショックだったんです。
サイレンススズカが故障し薬殺処分された翌年の宝塚記念で、毎年自分の本命馬を「私の夢」と言って公表していた、関西の競馬実況の名人である杉本清さんは、その年だけ、出走馬ではない馬を「私の夢」に指名しました。
でも私はおとなになってしまったのかな。今年は武豊の馬を買います。
仕事の帰り、東スポの競馬欄を見ていました。日曜日は天皇賞(秋)というレースが行われます。今回はウオッカを筆頭にスターホースが目白押しで、本当に楽しみなレースです。
そんな競馬欄の片隅に「天皇賞(秋)過去10年の成績」という表が載っていました。いちばん古い1998年のところに、1着オフサイドトラップ、2着ステイゴールドと書かれていました。
私はそれを見て、なんか表現のし様が無い虚脱感みたいなものに襲われました。
私は98年当時、それはそれは貧乏でした。
勝ったオフサイドトラップも2着のステイゴールドも名馬です。立派な馬です。
しかし、この年の天皇賞(秋)には、とんでもない大本命が存在していました。
1番人気、1枠1番サイレンススズカです。1番人気は勝てないというジンクスのある天皇賞(秋)で、単勝1.2倍の人気は異常な数値です。しかし、他のライバルホースたちが別のレースを選択したこと、東京競馬場は得意の左回りであること、もっとも得意とする2000メートルのレースであることなどを考えると納得のできる支持率でした。そしてなにより、競馬ファンはそれまでのレースでサイレンススズカの強さを目の当たりにしてきました。その強さは、もはや馬ではない動物なのではないか、と思わざるをえない感じでした。スタート直後からどんどん馬群から逃げて行き、そのまま他馬を寄せ付けることなく勝っているシーンを競馬ファンは何度も目にしていました。しかも鞍上の武豊騎手はムチを打つことはしませんでした。ただ、手綱を持って乗っているだけです。それで圧勝してしまうサイレンススズカは、もう誰がどう考えても勝つに決まっていました。
貧乏だった私は、その時、生まれてからいちばん高い買い物をしました。サイレンススズカの5万円の単勝馬券です。それは、私が5万円しか持っていなかったからで、1億円持っていれば、1億円買ったと思います。だって、馬が競馬場を1周するのを見ているだけで、お金が1.2倍に増えるんです。たぶん、当時の状況からして、サイレンススズカの馬券を1億や2億買った人は実際に何人もいるはずです。
そして、競馬ファンは、サイレンススズカがどれだけのレコードタイムで2000メートルを走ってくれるかを楽しみにしていました。武豊騎手は世界記録を狙いにいくと宣言していたので、ついにサイレンススズカにムチが入れられ、とんでもない世界レコードが目の前で樹立されることに、極度に興奮していました。競馬新聞の予想マークはすべてが、◎サイレンススズカです。
そして、1998年11月1日、午後3時40分、第118回天皇賞(秋)のゲートが開かれました。
私はこの日以来、5年間くらい武豊の馬券が買えなくなりました。武豊が悪いわけではないことは頭ではわかっています。しかし、体が武豊を許せないのです。3年後、阪神競馬場で武豊の乗ったエアセンスという馬が私の目の前で予後不良を起こしたとき、馬を気にして馬に寄り添う武豊に、大声で罵声を浴びせてしまいました。今考えれば人間として終わっていると思います。でもサイレンススズカの故障はそれくらい当時の競馬ファンにはショックだったんです。
サイレンススズカが故障し薬殺処分された翌年の宝塚記念で、毎年自分の本命馬を「私の夢」と言って公表していた、関西の競馬実況の名人である杉本清さんは、その年だけ、出走馬ではない馬を「私の夢」に指名しました。
でも私はおとなになってしまったのかな。今年は武豊の馬を買います。
テーマ : ▲▽ (*´Д`*)ハァハァする瞬間 ▲▽
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良い話
(・_・、)グスン
イイ話ですね。。。
近添さんの馬好きが伝わるお話だと思います。
杉本っさんってこう言うこと言う人なんですよね~
だから人気があるのかな。
馬券は全然当たらないのにね・・・。
イイ話ですね。。。
近添さんの馬好きが伝わるお話だと思います。
杉本っさんってこう言うこと言う人なんですよね~
だから人気があるのかな。
馬券は全然当たらないのにね・・・。
私は昨年サイレンススズカの墓にお参りしてきました。
今でも花が沢山生けてあります。
忘れたくない、忘れられない名馬ですね。
今でも花が沢山生けてあります。
忘れたくない、忘れられない名馬ですね。
>Guppy@すろ吉さん
なんというか、競馬は馬券だけじゃない深さがあります。
馬券は自分の財産を少しだけ提供して、本気でそのレースに関係者として参加させてもらうものかと思います。
杉本さんみたいな競馬実況の名人が再び出てくることを願っています。
>mohiさん
そうでしたか。
やっぱりサイレンススズカだけは本当に忘れられない馬です。
実際にサイレンススズカを見れて、馬券を買えたことは、
とてもうれしいことだと思っています。
なんというか、競馬は馬券だけじゃない深さがあります。
馬券は自分の財産を少しだけ提供して、本気でそのレースに関係者として参加させてもらうものかと思います。
杉本さんみたいな競馬実況の名人が再び出てくることを願っています。
>mohiさん
そうでしたか。
やっぱりサイレンススズカだけは本当に忘れられない馬です。
実際にサイレンススズカを見れて、馬券を買えたことは、
とてもうれしいことだと思っています。